2022 お父さんお母さんへ
本年もありがとうございました。
クリスマス会でのお話をここにまとめさせていただきます。ぜひ読んで下さい。
お父さん、お母さんへ
現代は操作思考と言われています。
指示をしたら相手は動いてくれる。自分の思うように相手は動いてくれる。
その証拠に、こどもをやる気にさせる本、部下を動かす本などがたくさん出版されていますね。
例えばですが、自己肯定感を高めるテキストにのっとって、お子さんに声かけをしたとします。
お母さんの中で、テキストによると子供にこんな声かけをするとこう返してくれる。と学びました。
でも実際我が子は思っていた反応と別の反応をしてきます。
そうすると、思っていたのと違う、、、動揺、悲しみ、苛立ち、焦りや不安、そんな気持ちが湧きわがってきます。
声かけによって子どもがこうなるであろう。その思考がそもそも操作思考なんですよね。
でも、実際は人を操作すること、人を変えることはできないんです。
仮に人を変えることができたと思うような出来事があったとしたら、それはあなたが変えたのではなく、相手が自分の意志で変わりたいと思って変わろうとしたのです。
人というのは自分自身で人生を歩み、自分の力で変わっていかなくてはならないのです。
年間500人を越える子供たちを指導している中で、そして私自身の子育ての中で、こどもにとって最も大切なことは、キラキラした自信、キラキラした自己肯定感ではないと思っています。(あくまでわたしの個人的意見です。)
本当に大切なことは、
思い通りにならないことに、耐える力、受け入れ認める心です。
私たちの人生は思い通りにならないことだらけです。
その事実にしっかり目を向け、受け入れ、耐え抜き、そして解決策や妥協策を生み出す。
その繰り返しが人間を形成していくのです。
自分という存在にしっかり向き合い、深い根を持ち、地に足をしっかりつけて生きていくことが大切なんです。
そのために、私たち親ができることは、実はとっても簡単です。
楽しいこと、悲しいこと、悔しいこと、理不尽なこと、どうしようもないこと、理屈では説明できないこと、、、たくさんの人間の感情を一緒に経験するんです。
お母さんやお父さんが、つい感情的になったり、それでこどもにごめんねって謝ったり、今日よかったことが明日はダメだったり、ついつい八つ当たりしてしまったり、、、
周りに自慢できるような素敵な親の行動ではないかもしれない。
でもお父さんお母さんのそんな人間らしい出来事一つ一つが子供の経験値を増やしていくんです。
子どもにとって思ってたのと違う!思い通りにいかない!そんな経験たくさんしたらいいんです。
家族という社会でたくさんの感情を経験して、自分で妥協したり解決する力を自分自身で育むのです。
そしてもっと厳しい外の世界でそんな経験をしたときには、テキスト通りの言葉を並べるのではなく、
今度はお父さんお母さんという一人の人間として思うことを伝えたり、
お子さんのそのとき経験した感情を受け入れて、共感して、抱きしめて、
誰よりもお子さんの味方でいてあげてください。
正解なんてどこにもないです。正解を一つにする必要もないです。
夫婦で子育ての足並みを揃える必要もありません。
お父さんはお父さんのやり方で、お母さんはお母さんのやり方で、お子さんも一人の人間として、感情を交わし合い、たくさんの感情を経験し共有するんです。
それが思い通りにならないことに耐える力、認め受け入れる心に繋がります。
その力さえあれば、お子さんが成長し、壁にぶつかったとき、こうなりたい!と思う自分に変わろうとすることができます。
自分という存在に自分で向き合い、人間力を深めていくことができます。
お父さん、お母さん、
怖がらずに、もっと人間らく、お子さんと向き合ってくださいね。
大丈夫、あなたたちのお子さんは、しっかり自分で自分の人生を歩んでいきます。
山下 佳奈子